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近年増えている「くる病」をご存じですか

2015年7月27日|管理栄養士コラム

くる病


暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。今回はこどもの骨の発育不良「くる病」についてです。

くる病は、ビタミンD欠乏や合成障害等で発症し、骨の成長障害および骨格の変形(O脚や背中が曲がるなど)を起こす子どもの病気です。日本においては、栄養状態が悪かった戦後一時期には見られましたが、食料事情の改善とともに発症数は激減し、過去の病気ととらえられていました。しかし近年、くる病になるお子さんが増えてきていると言われています。発症増加の背景には、現代社会における「紫外線を避ける」習慣が関係していると考えられています。

くる病発症に関わっているビタミンDは、骨にカルシウムやミネラルを沈着させる働きを担っており、骨の成長に欠かせないものです。体内におけるビタミンDの合成は、外に出て日光(紫外線)を浴びることにより皮膚下で促進(合成)されます。しかし近年、紫外線は皮膚がんにつながる可能性を不安視する傾向が高まり(またはシミ・そばかす対策等美容目的も)、子どもの外遊びを控えたり、日常的に日焼け止めを塗るなど紫外線を避け、日光に当たらない生活習慣が定着した結果、皮膚でビタミンDが合成しにくく(ビタミンD不足)、くる病発症につながっていると考えられています。もちろん紫外線の浴び過ぎは良くないですが、適度に外に出て日光を浴びることは、こどもの健康管理上大切なことなのです。日光浴の時間の目安は季節に異なりますが、夏なら木陰で30分、冬なら1時間程度、日に当たるだけで充分と言われています。また食生活では、ビタミンDを豊富に含む魚、卵黄、干し椎茸を積極的に取り入れることで、くる病発症予防に効果的です。

適度な日光浴とバランスの良い食生活の励行は、こどもの健全な発育と健康を守ることにもつながると思われます。

トランス脂肪酸について

2015年7月01日|管理栄養士コラム

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米国食品医薬品局(FDA)は6月16日、マーガリンなどの加工食品に含まれ、心臓病の原因になると指摘されているトランス脂肪酸について、2018年6月以降に食品への添加を原則として禁止すると発表しました。FDAは科学的見地からの検討の結果、食品に添加することは「安全とは認められない」と結論づけ、今回の措置の意義について、「毎年数千件の致命的な心臓発作を防ぐことができる」と説明しています。ニュースや新聞等でも多く取り上げられていたので、ご存じの方も多いかもしれません。

トランス脂肪酸は脂質に含まれる脂肪酸の一種で、油脂類に多く含まれています。マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングに含有量が多い傾向にあり、バター、植物油脂、動物油脂にも比較的多く含まれています。ちなみにトランス脂肪酸には、天然に食品中に含まれているものと、油脂を加工・精製する工程でできるものがありますが、肉や乳製品等に含まれるトランス脂肪酸、植物油を脱臭精製する時に意図せずできるトランス脂肪酸は、今回の措置の対象外です。トランス脂肪酸を多く摂りすぎると、狭心症や心筋梗塞など冠動脈疾患の発症リスクを高めることがこれまでの研究において示唆されており、特に米国では年間約60万人以上が心疾患で死亡していることから、トランス脂肪酸の摂取量について注目が高まっております。

トランス脂肪酸による健康への悪影響を示す研究の多くは、その摂取量が多い欧米人を対象としたものであり、日本人の場合にも同じ影響があるか否かは現在のところ明らかではありません。2003年、食事・栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合では「トランス脂肪酸量は総エネルギー摂取量の1%未満とすべき」と勧告しています。日本人が一日に消費するエネルギーは平均で約1,900 kcalとすると、平均的な活動量の場合には一人一日当たり約2グラム未満が目標量に相当すると考えられています。農林水産省が実施した調査研究(2008年)では、日本人が一人一日当たり食べているトランス脂肪酸の平均的な量は0.92~0.96グラムと推定されていることから、目標量を下回っていることがわかります。トランス脂肪酸を日常的に摂りすぎれば、心血管疾患になる可能性は当然高くなりますが、現時点での日本の状況としては、米国人に比し、日本人ではトランス脂肪酸の摂取量はかなり少なく、現在の日本人の平均的な食生活状況においては、トランス脂肪酸によって心疾患発症リスクが高まる可能性は低いと考えられます。

前述のとおり、トランス脂肪酸は脂質に含まれる脂肪酸の一種なので、食事から摂る脂質の量が多い場合は、トランス脂肪酸の摂取量も多くなることが報告されています。近年の国民健康栄養調査結果によれば、脂質をとりすぎている人の割合は、男女とも増加傾向にあることが指摘されていますが、食品中の一成分である"トランス脂肪酸"の摂取量に注意する(制限する)というよりも、脂質全体の摂りすぎを是正し、バランスの良い食生活を実践することが健康を守るうえで大切だと考えられます。いろいろな食品をバランスよくとり入れながら、食生活全体を今一度見直してみることが必要かもしれません。

参考
農林水産省:食品に含まれる総脂肪酸とトランス脂肪酸の含有量
農林水産省:すぐにわかるトランス脂肪酸. 
2015年6月17日(水)読売新聞

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